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ここでは、メールやBBSにて投稿していただいた、日記や情報を公開しています。
みなさんも、どんどん、送ってね!!  アクビ

投稿はこちらまで→→→
【投稿ファイルVOL.1】
スナフキン=ジーゲルソン さん

・趣味 : 仮装、バックパッカー等で世界を旅すること
・年齢 : 不詳
・職業 : 自営業
・アクビのコメント 
とあるHPのBBSで出会ったスナフキンさん、実際にお会いしたことはありません
が、かなり個性の強い方です。(笑)仮装と海外旅行という共通の趣味から、長い
おつきあいをさせていただいているのですが、彼の旅行記は本でも出せる
のでは??と思うくらい読み応えのある内容です。是非、読んでみて下さいね。

目次
・モロッコ編  
・カンボジア編
・チベット編(成都→広州 機内)
・ブルネイ編
・帰郷編
・上海巨人伝説 前編
・上海巨人伝説 後編
これは最近のエジプトの旅の写真。
旅行記の投稿お待ちしてます。

・モロッコ編

第1日目 カサブランカ

 モロッコの観光はカサブランカから、そしてカサブランカの観光は、
 ここ <ハッサン2世のモスク> から始まるのがほぼ定番らしい。
  
  一緒に旅をしているすえぴー君と写真なぞをを撮り合ったりしていたら、
 学校帰りのように思われる小学生の集団とすれ違った。  
 「朝なのに学校帰り? どうなっているんだろう?」
 とギモンに思っていたら、さっきからこっちをやたらジロジロ見ていた一人の
女の子と目が合ってしまった。 するとその女の子、パタパタと 僕の方へ
走り寄り、握りしめていたビスケットをハイとばかりに差し出 してくれるでは
ありませんか!

  ビスケットを食べたい気分では無かったけれど、あの満面の笑顔には
 とても抗し難く、"merci" と答えて美味しそうに口に入れた。 
すると その子の周りにいた集団(4人くらいか?)もバタバタと駆け寄ってきて
 みんな一斉にビスケットを差し出し始めたぁ〜! ォォ 何事ゾ ?!

  実は喉が渇いていて、むしろコーラでも飲みたいくらいなのに、このカサカサの
ビスケット攻撃では渇死してしまうぅぅぅ〜〜・・・
 ・・・とはいえ、最初の子のビスケットを食べてしまったからには、差を付けたりして
はいけないと思い、me・・ merci・・・と連発しなが ら一つづつ頬ばる・・と、ほひっ?
なんぢゃこりゃ! しっかり"歯形"まで付いているのもあるぞい!

おまえら、ちゃんと 歯、磨いてる んだろぉな! 
・・・んなわけないか・・・と終いにはナミダの振り子。  
 
 『オレ、昔から小学生にはモテるんだよなア・・・・』と、つぶやくと、
 
 『わたし、おばさんにモテますよ・・・』 と、すえぴー氏。 

 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 んはっ! さぁさぁ  旅は始まったばかり!! 
 アトラスが、サハラが、冒険とロマンが、我々を手招きしているゾえ!

・カンボジア編

 海外旅行中の防犯対策として、僕が常に実行しているのがニセ金作りである。???。
 すなわち $札の肖像部分を、他の顔に描き替えたものを、両面コピーして財布に入れ、
左後ろのズボンのポケットを膨らましてこれ見よがしに 町を闊歩しているので、
カモだと思って近付いてくる ドロボーさん達は、(実は自分がカモにされている
とも知らずに、)上手くスったつもりの 盗んだ安物のサイフを開いてみたら、
なかから出てくるのは"なんちゃって札"だったという寸法であります。

 今回のインドシナ旅行で、僕が選んで描いたキャラクターは「バルタン星人」。
 ふおっふぉっふぉ と笑うのだ。

************************************************

 カンボジアは小乗仏教(上座仏教)の国であり、商売仏教のどこかの国とは違って、
戒律が実に厳しい。 
 ところが アンコールワットにて 出会ったこの若い坊さんは、暇そうにしていて、
いつも愛想の良い笑いを浮かべ、観光客達がカメラを向けると ポーズをとるという、
実に愛すべき・・・・
いや、修行僧にはあるまじき、腐れ???ボーズだった。

 タイの国から出てきたばかりというこの坊さん、身の上話を英語で話してくれたり
したので、人気者になってしまい、4人の日本人女性に囲まれて、鼻の下を長くしていた。 
 
 しばらくして、"さてそれでは"・・・と場を切り上げようとすると、「ドーラン、ドーラン」と、
手のひらを見せる。 
ドーランとは、記憶によると、「お布施」のことだったかな?って思った瞬間、少しは神々しく
見えていた オレンジ色の袈裟が、乞食のボロ着に思われてしまった。

 僕が財布を開けて、$1札を手渡そうとすると、"もっと欲しい"というゼスチャーをする。
 呆れて思わず、例のバルタン星人柄の「なんちゃって$50札」を見せると、坊さん目の
色変えて、鼻息も荒く "こっちがいい こっちをくれ!" ってなそぶり。
手渡すと、ちょっと不思議そうな顔をして、英語で一言、"ニュータイプ?" と尋ねてきた。

 "くすっ!" 吹き出した女性達とともに、両手の指でハサミを作り、「ふおっふぉっふぉお〜〜」
と笑いながら、別れを告げた。 
 
 しばらくしてから、日本語がチョー堪能なカンボジア人のガイドさんに、僕の旅行中の
防犯対策を説明する意味で、例の"なんちゃって札" を見せると、眉にしわを寄せて曰く
 
    『この国では、ニセ札は、無条件に死刑です!』

 今となっては、あの人なつっこい強欲坊主の冥福を・・いやご無事を祈るのみであります。
青ざめた顔で、枕元に座っていたらどうしよう・・・・・・

・チベット編(成都→広州 機内)

 「ジープン、ジープン」

左隣に座っている 中国人のおばさんに 肩を叩かれて目が覚めた。

 「ジープン、ジープン」

 おばさんのゼスチャーから察するに、ジープン(日本人)である僕を呼んでいるわけではなく、
前の方を指差して
 『ほら、あそこに日本人がいるよ』 と僕に訴えているのだった。

 ・・・と言っても、機内に座っている東洋人の中で、日本人を見分けるなんて出来っこないけど
ナァ・・・って思いつつ前方に目をやると・・・
 ちょっとセピア色がかった画面の 機内放映映画に気が付いた。
 
 上映されているのは、戦争モノらしい。
 いきなり、後ろ手を縛られている中国人達が、一斉射撃で銃殺される光景が飛び込んできた。

 うげっ! なんでこんなモノ、機内でやってるンぢゃいっ!!

 少なくとも国際線の場合は、機内放映の映画は恋愛orコメディーorアクション系の3流どころ
と言った常識がアタマに定着していた僕としてはたちまち不快になって目を背け、タヌキ寝入り
に専念した。

zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz

 「ジープン、ジープン」

再び おばさんの呼び声で目が覚めた。
どうやらタヌキがホンモノになってしまっていたみたいだ。

快眠妨害された僕が、不承不承目を開けると、今度はさっきにも増してキョーレツな光景が
目に飛び込んできた。

 両手両足を縛られて なにやら叫び続けている若い中国人青年。
その傍らに、柱に縛り付けられ、前方を諦観の形相で睨み付けている老婆。
 この2人は、おそらく母と息子という設定だろう。

 その老婆の視線が向けられているのは、丸いメガネをかけた 気弱そうな
日本人の新兵。 銃剣を握りしめて ブルブル震えている。
 そこに上官らしき、髭面の中年男が近付いてきて、いきなりメガネ君頬を、5〜6回殴りつけた。

 要は 気弱な日本人新兵が、平気で躊躇することなく ヒトを殺すことが出来るようになるため
の訓練、それも、 「息子の前で、その母親に銃剣を突き刺す」
と言った、ホラー映画でもタブーではないかと思われるほどの、精神的残虐シーンだったのだ。

 たちどころに目が覚めた。 目が覚めただけでなく、今回は不快ながらも目を背けることが
出来ずにいた。 左隣からおばさんの声が追い打ちをかけた。

「ジープン、ジープン」

 最悪のBGMだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この映画は 時間切れのため、ラストの結末は分からないままだったけど、前述の地獄図の
後に、物語は意外なことに
  『修羅場に花咲いた 純愛モノ』 
という 僕好みの意外な展開を見せ、むしろその意味で一生ココロに残るだろう一本の
名画となった。

 それにしても、国内線とは言え、こんな映画、フツー機内で上映するかね?

 僕に中国語が話せたら、左隣のおばさんに言ってやりたかった。

『ねぇ、日本人って、なんて心の優しい民族なんだろうって思いませんか?
 こんなに辛い思いをしなければ、ヒトを殺すことなんて出来ないんですよ。
 え? そりゃ、中国の兵隊さんだって 同じことなんでしょうよ。 
 どんな訓練をされたのか、僕には分かりませんけどね。 
 とにかく日中友好、これからも よろしく頼ンますね!』

 直情思考の僕が 中国語を話せなかったことが、今回は実は日中友好に役立ったことに
なったのかもしれない・・・・・
って、思い直した頃、僕等を乗せた飛行機は、ドップリ暮れた広州の空港に轟音と伴に降り
立った。
・ブルネイ編


     ♪*!♪*!♪*  ブルネイの海岸  !♪*!♪*!♪*!♪
  

  「素晴らしいわ! ここに来るべきは科学者なんかじゃない! 詩人よ!」
                                   (映画『コンタクト』より)


 ジョディーフォスター扮するアロウェイ博士が、ワームホールを通って銀河の 中心へ一瞬で
ワープし、そこの光景に見とれて思わず口にするこの一言を、 スナフキンとしては、この
ブルネイの海辺に捧げたいのであります。

 まさにここは『彼岸』という言葉がピッタリするほど、宇宙的静けさに満ち満ちていました。
 独り旅や、新婚旅行や、友人同士で来るべき場所ではなく、
 人生の終焉をここで迎えたくなるような、
 静謐な空気が魂を光の彼方に連れ去ってしまいそうな、
 そういった豪奢な落日の風景なのです。
 
 イスラムの美的感覚 恐るべし!  
 コーランを読んだときの感動って言うのは おそらくこのようなモノなのかもしれないって
考えちゃったりしました。  
ジハードで喜んで命を落とす信者の気持ちがちょっとわかっちゃった気もしました。

 もう一つの発見。 "最高に"美しいモノに感動する"心の位置" というのは、
"悲しさ"や"寂しさ"を感じる心に限りなく近い場所にあるんではないんだろうか?ってこと。
 そうでないなら、悲しくも寂しくもなく、ただただ感動しているだけなのに、
 止めどもなく溢れる このナミダの理由(ワケ)は何?

 ビーチで感動しているうちに水平線の彼方に陽も暮れて、僕等は夕食を取るためにホテルへ
と向かい、エレベーターに乗り込むと、鏡張りのその室内には、ベートーベンの「皇帝協奏曲」が
豪華絢爛に鳴り響いていました。
 この曲は、おそらく人類が生み出した歴史上最高のピアノコンチェルトであることは、
間違いないと思うんですが、あの言語に絶する『黄金の黄昏』を体験してしまった後では、
この名曲ですら「矮小な人間のせせこましい欲望」にしか感じられないほどでした。

 ビーチ嫌いのスナフキンが体験した、海外で最も感動した場所 でした。

・帰郷編

「ひと夏の体験」などと言う言葉に憧れていたのは、もう○○年前のお話。
などと思っていたスナフキンでしたが、旅を続けている限り
出会いのタネは尽きないのであります。
 旅が終わり、帰途 新幹線の車中ではこのような光景が・・・


  ♪*!♪*!♪*  最終章 禁断の開眼  !♪*!♪*!♪*!♪


「すみません。隣、すわっていいですか?」

はにかんだ表情で そう言った 高校生くらいの女の子の横では、
その子の妹とおぼしき、いたいけな?少女が 不安げな眼差しで
こちらを見つめておりました。

「空いてますよ。 どうぞ。」

と、爽やかに答えてみたものの、おりに触れて彼女等の会話が気になり、
本を読んでみたり、携帯でメールを打ってみたりしたけれど、
どうしても意識は右側へと引き寄せられてしまう・・・

 東京→静岡 。 旅帰りの新幹線の中。 たかが一時間の道中とは言え、彼女等のような
初々しいGALsらに, 隣に座られて嬉しくないような 男は 永久に旅するロマンの理解らン
やつじゃ!などと 不純なココロを詭弁な言い訳でオブラートしつつ 数分が経った頃・・・・・

「すみません。 どちらまで行かれるんですか?」

と問われ、

「あぁ〜・・・し、静岡ですよ。」

と答えると、

「えぇ〜ー私たちも静岡なんですよ。 西焼津って駅、知ってます?」

などと、会話がミョーに屈託ない。

昔から、"電車で隣り合わせた旅人同志は 楽しく会話をせにゃならん"
というポリシーを持っている僕としては、まさに渡りに船であり、そこに
スナフキンとしては、"旅の理想の姿" を見たのであった!!!

 その後も彼女の 矢継ぎ早な質問は続く。

「どちらへ行って来られたんですか? ご旅行ですか?
よく行かれるんですか? いつも独り旅なんですか?
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」等々

 イマドキの中高生といえば、神戸や九州の事件の影響なせいか、「青少年」という言葉が、
まるで犯罪者の代名詞のようなイメージであり、学生服を着ている連中が、みな人殺しに
見える今日この頃において、彼女等の話し方や礼儀正しい振る舞いは 戦前の女学生を
思わせるほどであり、なごやかな家庭環境がうかがえる雰囲気が、とても自然に漂って
おりました。


 「肩凝りませんか?」

と、いきなり言われたときは、さすがに「???」だったけど、なにもかもがアンバランスなのは、
若者の特権でもあるのかしらん?と 広い心で解釈。
 素直に「そう、特に右肩が いつも凝っているんだぁ。」って答えると、

「ちょっと失礼します。」

と言って、いきなり背中に指を押し当て、手慣れた手つきで ほぐし出した。
気持ちいいのか 痛いのか こそばゆいのか、指でもまれている箇所のことよりも、
僕のその時感じたのは 何とも言えない違和感でありました。

通りすがりに過ぎない関係の間柄が、ものの数分のうちに これだけ距離が縮まるモノだろうか?
 現代の高校生って、こんな素顔も持っているのかな?


「今晩は、ぐっすり眠れると思いますよ。」

そういって、彼女はその指を僕の背中から離して曰く、

「ちょっとこっちを向いてください。」

・・・・・・なンだぁ?? 

「目を、軽く閉じてもらって いいですか?」

ん?・・ほにゃぁ? な、?#% にゃにが始まるの?
う゛、心臓ドキドキ・・・ 耳たぶは熱線が通ったように熱い!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あ、あ〜・・・、顔が暖かくなってきた。
この暖かさは、紛れもなく女性の "体温" のぬくもり・・・・
目を、開けるべきか? 否か? あ、あ、どうしよう・・・・・・ 

・・・・・・そしてついに、禁断の誘惑に抗しきれなかった僕が
・・・薄目を・・・開けて・・・ 二人を・・・ 見るとぉぉぉぉっ !!!

おおぉぉおおぉおおっっぉおおおおっ !!!!!!!!

な、なんと、二人して、
僕の顔に、手をかざして、祈っているうぅぅぅぅぅぅっっぅっ!


((((*^o^*)†~~~ ((((*^o^*)†~~~ 

・上海巨人伝説 前編

スナフキンは、私生活では『ジョックン』と呼ばれています。
以下の話では、会話のまま「ジョックン」で書かせてもらいました。


1930年代 上海 


  イギリス人はこの町に競馬場とアヘンを持ち込み
  フランス人はこの町に劇場と売春宿を建て、
  ドイツ人はこの町にビールとスパイを送り込み
  アメリカ人はこの町にスロットマシーンとダンスホールを売り込んだ。

 深作欣二監督の映画 『上海バンスキング』 の冒頭の一節です。

 成り行きで旅行先が上海に決まるまで、まったく興味も知識もなかった中国最大の大都市。
  どうせ行くなら・・・と、当時TV番組で人気を博していた「金田一少年の事件簿」を映画化した
「上海魚人伝説」まで見に行ってしまった。
 この映画のスジはほとんど記憶に残っていないのだけど、「上海魚人」というフレーズは、
全く別の意味て、僕の記憶に強烈に刷り込まれている。

 20世紀初頭の欧州は、科学文明の世紀へと急速に進歩していたとはいえ、未だに迷信や
偏見から抜け切れていなかった 過渡期の様相が色濃く残っている・・・そういう時代だったそ
うな。

 「中国には、人魚がいるぞ。」

そんな話も、まことしやかに語られ、実際見世物小屋の水槽の中で泳いでいる人魚を見たと
いう欧州人も少なからず存在していた・・・らしいが、これは下記のような理由によるものだと
言われている。

 どこの世界でも、貧しい時代には人身売買のようなことは行われていて不思議ではないし、
21世紀の現代でも、臓器売買などは必要悪?として公然と存在している。
 が、この時代の中国で、売られてきた少年少女等の一部は、片足を(あるいは両足を)切り
取られ、そのまま地中に半身を埋められる・・・(土には傷口の殺菌作用があるらしい)。
 数日後に生き残った子供たちは、下半身にウロコなどの いわゆる「刺青」をほどこされ、
「人魚」のような珍動物として、見世物小屋で生涯を過ごすことになる・・・・と。

 このような子どもたちを、興行主?の手から救い出したとしたら、現代では正義漢として
美談になるかもしれないけれど、当時では「家畜泥棒」のような行為という評価でしかなかっ
たンだろうなぁ〜   
 でも「当時」とは言っても70年くらい前まではそうだったわけで、「現代では美談になる」・・・
というのも、平成ニッポンの常識にドップリ漬かっている僕の、おめでたいヒロイズムなのかも
しれない・・・。

 そんな上海という雑踏の大都会を、かつて欧州人はこのように呼んでいた。

    ☆☆☆ 東洋の魔都 ☆☆☆



♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪

 
登場するヒーロー&ヒロインたち

   ♂ じょっくん・・・・・・・筆者

   ♂ 獅子丸 (ししまる) くん・・・小柄だが、「狩人」の弟似のナイスガイ。
                 酒が入ると Super ハイ になる・・・ことが今回判明した。

   ♀ 張々鼓 (ちゃんちゃんこ)・・・典型的ガラッパチキャラ。 密かに有段者!
                    怒るとおっかないのも、正義感の現われか?

   ♀ 百合姫 (ぷりんせす・りりぃ)・・・・・1980年代を彷彿させる いわゆる"ぶりっこ"。
                  外国を旅するのも、高価そうなフリフリお洋服いでたち。


          以上4名は、英会話サークルの仲間。


   ♂ 叶さん・・・・・・・・中国人。上海のガイド。
              男っぷりが良く、知性と活力満ち溢れる "頼れるおぢさん"。



 ♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪   



  1997年 上海


  グラスに残った氷の塊を、混ぜ棒で突っつきつつ目くじらを立てている イライラした表情の
張々鼓。
  中国語と英語の入り乱れるメニューに、白け切った視線を投げかけて、退屈そうにしている
百合姫。
 隣のテーブルでは、飲みすぎてハイになった獅子丸くんが、見るからにキャバ系な井手達の
店員ギャル
 と、奇声を上げながら積み木崩しゲームに興じている。

  1997年の大晦日。 海外で年越しをしようと、ここ上海にやって来た僕等4人。
  ガイドの叶さんのオススメで 連れて来られたのは、『恐竜世界』 という名前のバー。
  無意味なほどとも思える広い空間に、中生代ジュラ紀の様相を模したオブジェが
あちらこちらに林立しシダ類や双子葉類の造草や、チラノザウルスやトリケラトプスの巨大
模型は、さながら剥製にも見える。 
 上空に固定されてある始祖鳥は、むしろガメラに出てくる 怪獣ギャオスそのもの。
 日本人の感覚で言えば、ここの雰囲気は、バーと言うより、手の込んだゲームセンター、
あるいは 恐竜の室内テーマパーク、でなければせいぜい巨大なお化け屋敷と言ったところか?

 インテリアの珍しさに目が慣れてしまうと、大雑把で小汚い備品類が目に留まりだす。
枚数が足らなさそうな、汚れたトランプ。 白黒の駒の数が、明らかに違うチェス。
そんな些細なことに、やはりここが日本とは別の文化圏であることを実感し 軽い興奮を覚える。

 中国では、祝うのが基本的に「旧正月」だからなのだろうか?  
 大晦日だと言うのに 特別な夜である感じがしない。
 
 興じていたダーツゲームに飽き始めてきたころ、店の従業員だとおぼしき女性がやってきて、
 このゲームをやろう!と用意してくれたのは、積み木。 全てが同じ大きさの直方体で、
やぐらを造り、 下側のほうから 順番に一本づつ引き抜いては一番上に積み上げる・・・・・・そし
て失敗したヒトは、
 コップ一杯の水割りを一気飲みしなければならないといったルールだった。

 「え〜・・・アタシやだ!」 と女性二人が辞退。 僕もアルコールは駄目なので引き下がりた
かったが、場の雰囲気上 付き合う羽目になった。 飲めないから、失敗は出来ない!

 案の定、シラフの僕はほとんど失敗することなく、獅子丸君もなかなかなもので、誘ってくれた
言いだしっぺのキャバ嬢のみが、奇妙なタイミングで 積み上げたやぐらを壊してしまう。    
 それがおかしいのか、異様に盛り上がり、おとなしくしている二人の女性の存在は、まったく
意識から
 消えたかのごとき雰囲気だった。

 「じょっくん ちょっと・・・」 
 と、張々鼓に呼ばれて席を立ったときは、僕もちょうどいい加減疲れて来ていた頃だった。
 
 「アンタたちは、あの女の子がわざと負けているのに気がつかないの? あの子の飲んだ分も、
 みなあたし達が払わされるのよ! それがあの子達のやり方でしょ!」

 ま、そりゃそうだ。 叶さんからは、たらふく飲み食いしても、日本円にして一人当たり1500円
 くらい と 聞いていたけど、それじゃぁ足らなくなるかもな・・・・・  
 ホテルまでも一時間以上歩かなきゃならないし、そろそろ 会計&退散 としますか・・・・・・

 
    (_ _)(-.-)(~O~)ふぁ〜(~O~)(-.-)(_ _)(-.-)(~O~)ふぁ〜(~O~)(-.-)ねむねむ〜




 トイレから戻ってみると、張々鼓と百合姫が、真剣な面持ちで電卓をたたいている。
 どうやら、日本円に換算して、一人当たり8000円を越えるらしい。

 「やられたぁー」 
 「ぼったくりバーだったんだーここ。 どうする?」
 「とりあえず、あの子の飲んだ分を会計から差し引いて交渉してみようよ」

 とかなんとか、だんだんムードに悲愴感が漂い始める・・・・・・
 
 しかし、会計の店員も 僕等も、まわりが賑やか過ぎて声が聞き取りづらい中、
 お互い母国語でない英語で応酬するもんだから、意味が伝わらず、
 険悪な雰囲気だけが伝わってしまったようだ。

 「とにかく マネージャーを連れてくる!」

 とその若い店員は 店奥の暗闇に消えた。
 それはこのままでは済まないという、平和交渉の決裂を意味しているかのようだった。

 で、ふと横を見ると・・・ あ、やや、百合姫、泣いちゃってる・・・ さすが!ぶりっこの面目躍如!

 「もぉぉぉ〜 メソメソするンじゃないの!」 と張々鼓 の鼻息が荒れる。

 「オレがここでヤツラと闘って食い止めておきますから、ジョックンは二人を連れて逃げてください」

 いきなり 『闘う』 つもりになっちゃっている獅子丸くんだけど、ヘラヘラした楽しそうな表情には、
 現状認識のリアリティーが完全に欠如している。

 「バカなこと言わないでよ! 食い止められっこないでしょ! だいたいリーチ (腕の長さ) だって
  アンタの倍はあるでしょ!」

 ・・・・・・倍はねえだろ・・・・ って言葉が、思わず口に出そうになったその刹那、

 奥の暗闇から 現れた、"マネージャー" とおぼしき人物、
 ・・・・・・もしかして、マジに倍あるかも・・・・・・・って思わせるような巨人。巨人と言うより
 そびえ立つ屋久杉のてっぺんに、スキンヘッドの巨大ジャガイモが くっつけてあるような、
 ボブサップ張りの黒人だったのであります。   Σ( ̄□ ̄|||) 

 東洋の魔都 世紀末の上海。

 始祖鳥とチラノザウルスとボブサップの視線が降り注ぐ中、大晦日のサバトが始まろうとしていた。

・上海巨人伝説 後編 

 中生代のジュラシックワールドを背景に、腕組みをして我らを見下ろす
 ボブサップと、中国人数人の取り巻き。

 ヘラヘラしながら、独り 戦闘準備 の 獅子丸くん ヾ(@^▽^@)ノ ケラケラ

 泣きが入る 百合姫 (;´д`) ベソベソ・・・

 四方八方に 怒りのオーラを発散している 張々鼓 (○`ε´○) ガオォー

 想像だにしていなかった極めつけの光景!
 
 そして、"この瞬間を永遠の思い出に!" と、思い立った σ(^_^)わたくしジョックンが
 すかさずポケットからインスタントカメラを取り出して 構えるとっ・・・・・・・!

 途端、喧騒 をつんざく 張々鼓 の怒号!

 「ジョックン!この状況が理解ってんのッ!?」

 一瞬店内が静まり返り、ビビった僕w(☆o◎)wは カメラを思わず放り投げてしまったが、
ボブサップの眉が、一瞬引き攣ったのも見逃さなかったぞ。
 でかした 張々鼓!     ヤッタネ ( ^^)爻(^^ ) イエーイ


 (= )( ̄= )(∇ ̄= )( ̄∇ ̄=)(= ̄∇ ̄=)( ̄∇ ̄=)(= ̄∇ ̄=)v


 最終的には 絶妙のタイミングでやって来た叶さんの絶妙な?交渉で事なきを得、
平和な和解となった。 
んが、状況を独り楽しんでいた(ように見られた)僕は、この事件?の「悪玉」とみなされ、
帰国して以降も 事あるごとに
  『上海ぼったくりバー事件を引き起こした男』
という肩書きを背負わされることになる。

 反面、ピンチに颯爽と現れ、紳士的な交渉でビタ一文 (古っ!) ぼったくらせなかった
叶さんの人気は急上昇!  
 翌朝 アルコールが抜けて常人にもどった獅子丸くんなんか、ことあるごとに
「叶さん、叶さん」 と、完全に「兄貴分」扱い。
 異国で出合った頼れる年配者 に対する憧憬の念 ってのを全身で表現している。
そう言えば、獅子丸くんにとっては、初めての海外旅行だったんだっけ。

 叶さんのお陰で、彼にとっての「年越し海外初体験」が、いい思い出になってくれそうで、
なんとなく嬉しくなる。

 叶さんは、僕が海外でであった男性の中でも、最も印象深いガイドの一人。
 こういう仕事は、民間レヴェルの外交官みたいなものだね。
 ガイドの人柄が、そのままその国の国柄に思えてきてしまう。


♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪



 さてさて無事に歳も明け、思い出を乗せた翼が日本へ向けて離陸する。

 あれっ?隣の獅子丸くん、小包サイズの紙パックを大事そうに抱えている。
手荷物には見えないし、お土産にしては あまりに地味な包装。

 どーしたのそれ? お土産? と尋ねた僕に、彼、答えて曰く、、、

『 叶さんから頼まれたんですよぉ。 日本の友人でリュウマチを病んでいるヒトがいて・・・
 これ、漢方薬らしいんスけど、日本に着いたら、ここの住所に送ってくれって。
 ここ九州っスよねぇ。 スゴイな叶さん。日本中に知り合いがいるんスねぇ。
 世話になったんで、郵送料は僕が出すことに・・・・・・・・・・・・・』

・・・・・・はは は、(;¬_¬)・・・・漢方薬ねぇ・・・いつの間に・・・・

それにしても、頼まれたのが海外旅行初体験な獅子丸くんであること。
海外旅行経験豊富なほかの3人は、その依頼を知らされなかったこと。
そしてなにより中身が、警察犬の鼻をも狂わせるほどニオイの強い「漢方薬」であること。

これらの事実から導かれる結論は、たったひとつに絞られてくる可能性極めて大・・・・・・。

さぁ、どうすべきか?
気がつかなければ良かったけど、事が事だけに、仲間3人に相談など出来ない。
どこにもマニュアルがない中での孤独な選択。
そしてその判断が、もしかして4人の人生を狂わせてしまうかも・・・・・
どうすべきか・・・???
どうすべきか・・・???   
                                   

♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪*!♪


   あとがき

 この旅行は、平成9年から10年にかけて、上海で年越しをしたときの記録です。
 
 いきなりここで言い訳をさせていただきますが、いまだに非難ごうごうなぼったくりバーでの
一件は、僕には勝算あってのことで、決して皆をキケンにさらしたというワケではないのです。

 まず何よりも、「恐竜世界」は、ガイドである叶さんの紹介であるということ。
そしてもし仮に払わされるというハメになっても、一人当たり日本円で8,000円は、
カラダを張ってまで守り通す金額とは、僕にはとうてい思えましぇん!
 
 それでは皆様、ごきげんよう・・・
 
 え? そのあとの「荷物」がどうなったかって? 気になりますぅ?
 んじゃ、ここだけの話しですよぉ。

 結局僕は、この件を 『黙殺』 いたしました。
 従って なんの疑いもなく入国審査を終えた獅子丸くん と 僕たちは、
 年明けの目出たいニッポンに無事帰国し、日常へと溶け込んでいきます。
 その後 おそらく彼は郵便局へ行き、叶さんとの約束を果たしたことでしょう。
 そして真相も霧の中となりました。

 中国側で発覚した場合、問答無用で死刑判決が下るという恐ろしいウワサもあとから耳に
しましたが、刑罰が厳しいというだけでなく、中国社会からすれば麻薬はそれだけ重大な
社会悪としての位置付けなのでしょう。

 ただ僕にとっては、時代とともに変貌する社会正義よりも、4人で手探りで作り上げた
思い出のほうが遥かに大切だったのです。
 上海での日々を回想するとき、叶さんの自信に満ちた笑顔は、僕等にとって欠かせない
思い出の一部であり、年月を経た今でも、そして未来永劫に、彼は上海のヒーローとして
記憶の中で輝き続けています。

                                                劇 終
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